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みやざき中央新聞で講演の内容が紹介されました。
 

<「音」を聞くだけで相手の感情が分かる>
 皆さんは、同じ言葉でも音の雰囲気が違うだけで捉え方が違ってくる体験をしたことはありませんか?
 たとえば、朝出勤して「おはようございます!」とあいさつをしたら、上司から低い声で「おはよう」と返されたとします。すると「あれ? ちょっと機嫌悪いのかな?」と思いますよね。同じ言葉でも、「おはよう!」と明るく言われると「元気だな」と感じるでしょう。
 「音は感情の入り口」なのです。ですから「音」に意識を向けてみると、相手の言葉の奥にある感情を捉えることができるかもしれません。
 ただ、人は賢いので自分の感情の上に上手に「言葉」を乗せて本当の感情を隠すことができます。
 ですから、よりいっそう言葉の奥に隠された思いに意識を向けないと、相手の大切な感情を聞き逃してしまう可能性があるのです。
 「音は感情の入り口」と言いましたが、それが特に分かりやすいのが「親」です。
 私の父は感情の起伏が激しい人でした。子どものときの私は、父の声を聞いて「今日は機嫌いいな」「機嫌悪いな」ということを聞き分けていました。
 子どもって普段何気なくそんなことをやっているのです。
 それに加えて、人は表情や仕草からも相手の感情をキャッチできるといわれています。そのときは観察能力が非常に重要になります。
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<身の回りの「聞こえない音」>
 私たちは一人ひとり固有の周波数を出しているといわれています。
 誰しも気が合う人と合わない人っていますよね。「嫌いじゃないけどなんか近寄りたくない」とか「初めて会ったのに、この人のこと前から知っているみたい」とか…。それってその人が出している周波数が関係しているみたいです。
 また、仲良くなった友だちと趣味や好みが一緒になることってありませんか。近い周波数同士なので、自然とそうなるのだそうです。
 私たちが聞くことができる音域を「可聴領域」、聞こえない領域を「不可聴領域」といいますが、聞こえなくても音が鳴っているものはたくさんあります。
 たとえば、心臓の音や血液が体内を流れる音は、私たちの耳には聞こえません。しかし、音は鳴っているのです。
 そして、内臓一つひとつも違う周波数を出しているそうです。
 肝臓は肝臓、腎臓は腎臓、骨は骨、肺も心臓もいろんな周波数を出していて、それらが整っている状態が、一番体調がいいということなのです。
 心に不安があったりするとその周波数は乱れてきます。不安や悲しさがあると肝臓の周波数が乱れ、言いたいことをずっと我慢していると気管や声帯の周波数が乱れるそうです。
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<相手の音をよく聞き、自分の音を工夫する>
 私たちはそれぞれの体から出している周波数を、「耳で」というよりは「体全体で」感じています。
 見る、聞く、触る、味わう、嗅ぐという五感をすべて使って周波数をキャッチし、コミュニケーションをしているのです。
 もちろん、これらの周波数をキャッチするだけでなく、私たちはコミュニケーションをする際、いろんな能力を使ってきました。しかしその能力は、世の中がどんどん便利になるにつれて失われていきました。
 たとえば以前は、電話を掛けるとき、分厚い電話帳や自分のアドレス帳から相手の電話番号を探していました。
 その中でもよく掛ける相手の電話番号は覚えていました。私が以前、営業のサポートをしていたとき、お得意先の電話番号はざっと200件くらい覚えていたものです。
 でも、今は自分の携帯番号を覚えているのがやっとです。それ以外の電話番号は携帯電話に保存されているので、覚える必要がないのです。
 「記憶力」というところでも、私たちの能力は確実に衰えていると感じます。
 私が生まれた40年ほど前は、コミュニケーションというと直接会うのが基本で、電話は家の固定電話を使うのが当たり前でした。
 固定電話に掛けると、その家族の誰が出るか分かりません。ですから、まず電話に出た人とコミュニケーションする必要がありました。
 携帯電話は確実に本人が出ると分かっている状態で電話しますから、コミュニケーション能力が低下するのは当然でしょう。
 そして、「メールだったら何でも言えるけど、直接会ったり電話をしたりすると、思っていることをうまく伝えられない」という人が今とても多くなっているのです。
 でも、人間は本来、コミュニケーションをとるための能力をたくさん持っていたのです。相手の声色から様子を感じ取れる能力、連絡先をたくさん暗記できる記憶力など。
 しかしその能力はどんどん失われています。
 今、コミュニケーションで起こるすれ違いは、能力を再発見することで解決できるのではないかと私は思っています。
 では、その能力を発揮するためにはどうしたらいいか。
 まずは、普段私たちが聞いている音(相手の声)に意識を向けてみてください。
 相手の声が高かったり低かったり、早かったり遅かったり、そんな些細なことから相手の感情や様子が感じとれるでしょう。
 そして、自分が出す音(自分の声)も工夫することが重要です。暗くて小さな声での「おはよう」と、明るく大きな声で「おはよう!」、言われた相手が気持ちいいのはどちらでしょうか。自分が出す音は相手の気持ちに影響を与えるのです。
 相手の音をよく聞き、自分の音を工夫する。それだけでコミュニケーションはよりよくなり、自分の日常も相手の日常も変わっていくのではないかと思っています。
(宮崎で行われた『信じる力は翼になる〜You Can Fly〜』出版記念講演会より)
【たかはし・まき】1971年生まれ。96年(株)オリエンタルランドに入社し、アルバイトとして東京ディズニーランド内のレストランに所属。99年トレーナーとなり、従業員のトレーニングに携わる。2000年には乳がんが発覚するが克服し復職。07年、東京ディズニーランド30年の歴史の中でたった4人しか認定されていない「マスタートレーナー」となる。12年に退職し、現在は全国各地で研修・講演などを開催している。


唯一やったことは「彼の思い」を伝えること

 私は軽い気持ちでディズニーに入社しました。実際に入社すると、プロ意識の高いステキな人たちがたくさんいることを知りました。
 すべてのスタッフは「ゲスト(お客様)にハピネス(幸せ)を提供する」という共通のゴールに向かって仕事をします。
 また、「すべてがショーである」というウォルト・ディズニーの言葉をみんなが実践しています。
 ショーの舞台に立つのは役者、つまりキャストですよね。ディズニーのスタッフは、まさに自分のことを「キャスト」と捉え、「ゲストにハピネスを提供するために自分はどのようにその役に徹するか」をいつも考えています。
 「私たち一人ひとりがゲストに幸せを届ける」「どうしたら目の前にいる人が楽しんでくれるかな。笑ってくれるかな」という思いで行動しているのです。
 自分自身にそう問い続けていくと、自然と日常の行動が変わります。
 入社直後、私はディズニーランド内のレストランで働き始めたのですが、元々そそっかしいこともあり、お皿を割ったり、料理を出すときに皿の上のお肉が空を飛んでいくことがありました。
 そのときに笑って許してくれるお客様もいましたが、中には嫌な気持ちになってしまう方もおられました。
 だから私は、先輩をお手本にして「お客様に幸せを届けられるように」と思いながら、上手な出し方を覚えていったのです。
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 入社して数年後、私はキャストのトレーナーになりました。
 今いろんなところで「ディズニーで教えていた」とお話すると、「何か特別なことをしていましたか?」「笑顔の訓練や発声練習はありましたか?」などと聞かれます。でも、そういったことは一切ありません。
 では何をしたかというと、「ウォルト・ディズニーという1人のおじさんが、どんな思いでディズニーの世界を創ったのか」ということを、繰り返しキャストに話していただけなのです。
 ウォルト・ディズニーという人は、大人になっても子どものような純粋さを持っている人でした。
 「自分が楽しいならきっと周りの人たちも楽しいはず。生きていると大変なこともたくさんあるけど、このテーマパークに来たときは、大変なことを忘れて楽しんでほしい」ということをいつも考えている人でした。
 その彼の思いを、私が繰り返し伝えることで、それを聞いたキャスト自身が、自分で考えて行動していくようになったのです。
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 皆さんには、憧れの人はいますか? 人は生きているだけで、周りの人にいろんな影響を与えていると思います。あなたのことを「ステキだなぁ」と思ってくれる人だってたくさんいるはずです。
 日本人は謙虚なので、自分の素敵なところをなかなか見つけられないし、それを言葉にできません。
 私たちは「減点法」教育という、足りないところを補うような教育をされてきたために、人の不足している部分や、自分のできていないところばかりを見てしまうクセが付いているのです。
 その意識を少し変えて、自分の素敵なところや周りの人のいいところを認めましょう。
 そしてそれを言葉や音にしていくと、もっと日常が楽しくなっていくと思いますよ。

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